第17号(2004.3.3) 世の中にはそれはそれは様々な用途の多種多様の器があります。 中でもお茶飲みに使うのを『茶器』と簡単にくくります。 茶器は和んだり休息したりするお茶の時間の物だけに、他の普段使い の食器達に比べて遊びの要素の強い物も多く見受けられるようです。 色合い、厚さ、手触り、口触り、そして絵付け。 昔から白磁や青磁に絵を描いた物は可愛らしく、思わず手に取って 眺めてしまうのですが、青染め付けのように藍色の美しい清楚な絵 の魅力と色絵付けと言われるカラフルなもの、赤染め付けという赤 主体の描き方、思い描くと際限なく、器の美の世界は広がります。 最近はモダンな絵柄でシンプルにデザインされた器も多い中、それ でも昔からのモチーフの伝統的な美しさは輝きを失いません。 茶器で多く用いられるのは『山水』と呼ぶ、青染め付けの物です。 水墨画のような渋めの絵柄は、職人の技術の差にもよりますが、人 と風景が細かに流れるような線で描かれます。 白磁に青染め付け山水の湯冷ましが店頭にあって、どうしようかと 迷う内に、次に通った時には売れてなくなっていたのを今でも思い 出すと残念です。 『童子』も良く柄に使われます。 頭の大きな小さな子どもは、いつの時代でも平和と幸せの象徴とし て愛され好まれました。 これも職人の筆のタッチの味を楽しむにはうってつけの柄で、個性 の出る大きな部分であると思っています。 その表情、しぐさ等、腕の見せ所です。 好きな顔の童子を見つけた時の喜びと言ったらありません。 更に個人的に好きな『金魚』の柄。 赤染め付けの赤金魚は、日本でも古くから華やかで美しい憧れのもの であり、金魚のモチーフだけを集めた本があるくらいです。 屏風絵にも良く登場しています。 無地の器にあでやかに泳ぐ金魚の姿。 金魚もメーカーや職人によって様々な姿をしているのがまた楽しいです。 『魚』も姿のスマートな美しさから良く用いられます。 絵付けの筆の力加減の分かるような、柔らかな線の物が私は好きです。 絵付けの職人さん達は、なんと素晴らしい仕事を毎日していらっしゃる のでしょう。 遠い過去には、高い技術を持った職人の仕事は、高貴な方々への貢ぎ物 の色合いが濃く、一般の人達には高値の花だったでしょう。 それを労せず手にできる、現代の環境の幸福を思わずにいられません。 自分では到底描けないような素晴らしい絵を器に見つける。 それを手元に置いて眺めお茶を煎れる。 楽しみは大きく膨らみます。