第7号(2003.4.1) 暖かになりました。 もう霜が降りることのない地域の方が多いでしょう。 一年の始まり、いわゆる『年度』の頭が四月ですね。 外国では学校の新学期の始まりが違うので、日本でもそうしようと 言う動きがあるようですが、桜の散る中での入学式は今でも鮮明に 思い出に残るものです。 日本は縦に長細い国ですから、何月になに、と決めるのはあまり 全国的ではないでしょうか。 それでも四月は花の季節、という感じがしています。 お茶も妙に華やかなものが飲みたくなったりします。 気持ちも軽くなって、風が頬をなでていくのが心地よい。 身体の中にも花を感じたくなって、桜茶を飲んだり。 桜茶はおめでたい場にも良く登場する、日本の伝統的なお茶です。 桜の花を塩漬けにして保存し、それをお茶碗に1つ2つ入れて湯を 注ぐと、お茶碗の中にぽっと桜の花が咲くのです。 白磁の碗ならなおさら、その軽い桃色の透き通った花をはっきりと 見る事ができるでしょう。 中国茶にも工芸茶があります。 それに憧れ、当時は正式名称も知らずに探していたことがあります。 遂に見つからず、でも茉莉白龍珠(マリパイロンジュ)を買って、 コロコロと固く小さく締まった珠が、茶碗の湯の中でぱらりはらり とほどけていく様を見て、また立ち上る香気にうっとりとしました。 あまりに美しいので、それ専用に安価ではありますがガラスカップ の薄く小さなプレーンな形のものも買いました。 それは以前、香港で出された粗悪なジャスミンティとは一線を画す るもので「ジャスミンティは不味い」という考えは一概には言えな いということを感じました。 そんな時に真の中国工芸茶を飲む機会がありました。 今まで見た事も無いような美しい大輪の花が湯の中で咲きました。 種類によっては中から更に小さな小さな花が糸につながれ登ってい くという、繊細で愛らしいこの世には本当には存在しない美です。 味も「大味では」と思ったのに、すっきりと良い香りは繊細でした。 しばらくたってから、街で同じ様な工芸茶が信じられないようなお 安い値段で売っているのを見ました。 思わず買って家で飲んでみると、形もきたないし、お茶の味もなぜ かカスのようなのです。 香りも匂いも良くありません。 これを飲んだ人は「中国工芸茶は不味い」と思うでしょうね。 お茶は種類も色々、製造の工程もいろいろです。 最初に「うえっ」と思ったお茶、もし後で人が「これは美味しいで すよきっと」と勧めて下さるなら、勇気を持って過去の事は頭から 追い出して飲んでみて下さい。 工程を省いたり、素人を雇って人件費を浮かせたり、機械を使って 茶葉を積んだり、粗悪な茶葉を使えばいくらでも安く出来ます。 しかし世の中には正直に本当に美味しいお茶を作っている所も沢山 あるのです。 だからといって、べらぼうな値段をつけるのは反則です。 お品に適正なお値段、そして買った人が幸せになること。 それが一番良いお茶なのだと思います。